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月曜日, 8月 28, 2006

コノノNo. 1


日比谷野音にて KONONO No.1ROVO渋さ知らズのライブ。
最初にこの組み合わせを知った時、ちょっと笑ってしまった。コノノを聴きに来る人が喜びそうなバンドを並べただけじゃん!コドモを喜ばせるためにカレーとラーメンとハンバーグを同時に出すかのよう。何のひねりもなく、素直な良い組み合わせだと思った。参加する自分自身も楽しめそうだし。

今回、購入して間もないAUDIXコンタクトマイクを投入。専用プリアンプが不要という点が気に入った。手持ちの機材のファンタム電源48Vで対応できるので、トラブルが生じたときに問題の切り分けがし易い。この電源の問題に加え、楽器への装着感の良さも最近まで使っていたAKGの物より上。
本番で使う前に一度リハーサルスタジオでテストしたのだが、いつもライブで使っているコンパクトミキサーに直に繋げるとちょっとした加減で歪みが生じる事が判明。というわけでライブではARTのコンパクトなプリアンプを使用する事に決定。エフェクターはいつも通り、EWI にのみディレイを二機。

現場に到着。ROVO、コノノのリハを聞きながら機材等の準備。コノノはもちろん、実はROVOも生で観るのは初めて。渋さ知らズのリハーサルは最後。そのまま客入れの時間となり、お客さん入場しながらのリハーサルとなる。
個々の楽器のチェックは終わっていたので、アンサンブルで曲をやりながらチェック。犬姫、飛行機、本多工務店のテーマにて音の確認。コンクリート剥き出しの野外音楽堂の宿命で、どうしても低音が拡散して聞こえる。ROVOのリハを少し客席で聴いてみたのだが、外音も低音の輪郭がぼやけて聞こえる。会場の特性上、仕方ないのだろう。

本番。やった曲はマーシーマーシーマーシー、股旅、ライオン、フィッシャーマンズファンク、ナーダム、仙頭か。新しいマイクを使ってみたかったので久々にサックスもちょっと吹いてみた。AUDIX, ART の組み合わせは悪くないようだ。

出番が終わり、乾杯したり(普段殆どアルコールを飲まないのだが、楽屋に戻った瞬間ビールを渡されたので飲んでしまった)、自分の機材の片付けをしたりした後 ROVO 鑑賞。勝井さんは勝井さんらしくあるための良いバンドを作ったのだな、と感じた。予想通り、客席は渋さの時よりさらに盛り上がっている。高い位置からも聴いてみようと客席後方に移動。何年ぶりに会うのだろう。渋さのオリジナルメンバーである「ガーデン」に遭遇。知らない間に結婚していやがり、美人の奥さん同伴。昔話をしたり、握手を何度もしたり、いろいろ。
その後一旦楽屋へ戻り、夕食の弁当を食べ、舞台転換中に客席に戻ろうとしたその時、マイミクシー I さんから電話。合流。そのまま、本日が誕生日のこれまたマイミク H さんと合流。おめでとうの乾杯でまたビール。そうこうしているうちにコノノの演奏が始まる。さらに盛り上がる客席。

久しぶりに踊り続けましたよ。コノノの音源を初めて聴いた時、強烈なインパクトを受けたが、生で聴くとまた違ったインパクト。これはなんなんだろう。いわゆるアフリカ音楽としてはとりたてて珍しかったり複雑な音楽構造ではない。シンプルなポリリズム、シンプルなポリトーナリティ。そしてシンプルな歌。
衝撃の中心はやはり電気か。コノノの演奏メンバーは六人。一人がコンガのようなドラム。もう一人がスネアを中心としたドラム。エレクトリックカリンバが三人。ボーカルとパーカッションの女性が一人。コノノのアイデンティティーは当然ながらアンプリファイドされたカリンバにある。
ベースカリンバはベースアンプに繋がっている。これが驚くほど締まった低音。前二つのバンドのベースギターの輪郭のはっきりしない音とは対照的。リズムセクションに沿うように演奏されているカリンバはRoland JC に。「リード」カリンバはフェンダーのアンプか。
我々の知っていた通常のカリンバの音は、金属板そのものの振動の他に擦れる音やびびり音などが混ざり、アコースティックならではのダイナミックレンジが広い音。コノノのカリンバは、エレクトリックギター同様強烈にコンプレスされており、音の輪郭が強く浮き出ている。その結果、伝統的な音楽が、我々の良く知っている「読み取り易い」音に翻訳される。聴くための努力が非常に軽減され、とても楽にリズムに自分をゆだねることができるのだ。一見単純で馬鹿馬鹿しいほどだが、その手法に確信を持って演奏し続けてきた人しか、その音に説得力を持つ事はできない。単純な手法故に、逆に音楽の中心を見失わないように真っ直ぐ演奏する事が不可欠となる。その強さを持っているのがコノノ。

数十分踊った後、現実的な思考に切り替え、帰り支度でもしようと楽屋に戻る。そこで雑談等していたら「あのー、もしよろしかったらアンコールのステージに出ていただけませんか」の声が。「もし」もなにもない。一度仕舞ったサックスをすぐさま取り出して早々とスタンバイ。
最後にコノノを中心に、全バンド合同セッション。この体験自体貴重だが、他に目撃した貴重な出来事もいくつか。手ぶらでマイクの前に立つ山本精一さん。普段着でセクシーに踊るペロちゃん。他いろいろ。

とても楽しい一日だった。電気万歳!エコエコいう奴なんか糞食らえ!